不完全抗体の検出

ここでは、「不完全抗体の検出」 に関する記事を紹介しています。

完全抗体(正常同種抗体)とは?

規則性同種抗体:赤血球にはいくつかの抗原として認識される部分があり、それに対する抗体が存在し、抗体の保有の仕方に規則性がある。下記参照
B型=抗A抗体、A型=抗B抗体、O型=抗A・B抗体、AB型=無し

不規則性同種抗体:不規則抗体を保有者の血清は、特定の血液型の人の血球と凝集する。
下記参照(不規則性同種抗体の種類)
抗-D、抗-E、抗-e、抗-e、抗-Diª、抗-Fyb、抗-Jkª、抗-Jrª、etc

CCC(クームスコントロール血球)とは
IgG感作血球で抗IgGにより血球同士の凝集を促す物質

直接抗グロブリン試験とは
赤血球が免疫グロブリンや補体などで被覆されているかどうかを検査するために使用され、自己免疫性溶血性疾患、新生児溶血性疾患、薬剤性溶血性貧血などの診断、輸血副作用の確認に有用

間接抗グロブリン試験とは
陽性の場合ABO式血液型以外の血液型に対する免疫抗体(IgG)の存在が考えられる。応用として、不規則抗体スクリーニング検査・型特異性の同定、血液型試験(D-確認試験など)、交差適合試験

試薬の滴下と反応温度
免疫同種抗体の反応至適温度が35~38℃で赤血球内のシアル酸を除去するブロメリン酵素(タンパク質分解酵素)は37度15分が反応のピークとなる。重合アルブミンは反応促進剤として活用される

3回洗浄する意味
血清中のAlbとGlbのような余分な蛋白、IgGを取り除く

水気を完全に切る意味
血液中の余分な蛋白、IgGを出来るだけ取り除くため
正解:クームス血清の希釈を防ぐ

Coombs血清とは?
クームス血清を加えると、赤血球表面の抗体同士に架橋が形成され、赤血球は凝集
正解:アンチIgG・(C3b・C2b)血清=補体に対するグロブリン

CCCを滴下後判定
洗浄が不十分だとIgGが残るので非凝集、きちんと洗浄できたら凝集を示すので

操作手順
1. 各自、小試験管を2本準備
2. 和華蘭抗体を小試験管に2滴、もう一方の小試験管(Nega.con)に生理食塩水を2滴滴下
3. IgM抗体を作る(赤血球の入った試験管に8分目まで生理食塩水をそそぎ3400rpm1分遠心→スポイトで上澄みを捨て生理食塩水を8分目まで入れ、よく混釈し3400rpm1分遠心→生理食塩水4.75ml+血液0.3mlをよく混釈し3400rpm2分遠心
4. (3)の対応抗体をそれぞれに1滴滴下、よく混釈し3400rpm15秒 判定
5. 2本の小試験管を37℃に加温、重合アルブミン液を2滴滴下後混和し15分浸す
6. 3400rpm15秒 判定
7. 生理食塩水で3回洗浄3400rpm 1分 1分 2分(最後は水気を完全に切る)クームス血清を1滴滴下後よく混ぜ3400rpm15秒 判定
8. Nega.conの入った試験管にクームスコントロール血球を1滴滴下後よく混ぜ3400rpm15秒 判定

結果

 

和華蘭抗体

Nega.con

室温相

()

()

加温相

(+)

()

クームス相

(3+)

()

Coombs con .cell

----------------------------------

(2+)



考察
和華蘭抗体はクームス相で凝集が見られ、Nega.conはCooms con .cellで凝集が見られた。上記に記した質問の解答から2検体の特徴付けが分かる。 もしNega.conがCooms con .cellで非凝集だったら、洗浄不十分でIgGが残っていると考えてよい。
正解:陰性コントロールなのでIgG抗体は入っていない。クームス血清がきちんと残っていればクームスコントロール血球(IgG抗体感作赤血球)なので凝集を起こす。→技術の正当性(きちんと手技は実施された)
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